2026年のキツー・サミット(Kitsu Summit)で、テツオ・アニメーション(Tetsuo Animation)の創業者兼アニメーション・スーパーバイザーであるクリス・ウンターベルグ(Chris Unterberg)が登壇し、どのアニメーション制作会社にもあるのに、あまりオープンには語られないテーマを共有しました。それが「フィードバック」です。単に受け取り方ではなく、アニメーターにとって本当に役に立つ形で、明確に、ビジュアルに、そして分かりやすく伝えるにはどうすればいいのか。

彼の講演は「Quickdraw Always Wins(クイックドロー・オールウェイズ・ウィンズ)」というタイトルで、技術的なウォークスルーであり、哲学的なレッスンでもあり、アニメーション制作スタジオを日々運営する現場のリアルに完全に根ざした内容でした。
クリスは、ドイツを拠点にキャラクターアニメーションを制作するスタジオ「テツオ・アニメーション」を運営しています。制作対象は、ゲーム、広告、テレビシリーズ、そしてシネマティックスです。さらに彼は、キツー(Kitsu)自体にも積極的に貢献しており、レビューシステムのペン圧サポートを改善しました。
彼の視点がとりわけ価値あるのは、生産工程のど真ん中にいるからです。「自分は、クライアントと他のステークホルダー、そして自分のチームの間に立っているんです」と彼は説明しました。「クライアントからフィードバックを受け取るだけでなく、それをチームに渡し、うまく機能しない場合は彼らからもフィードバックをもらいます。」
机上の空論ではなく、彼は毎日、そのフィードバック・ループの中で生きています。
曖昧なフィードバックが抱える問題
クリスは、すぐに空気を決める、自身の初期キャリアのエピソードから話を始めました。
上司がやって来て、クリスが作った何かを見て、シーン内のものをすべて選択し、削除を押し、復元できないようにファイルを保存してから、「もう一度やって」と言ったのです。説明なし。指示なし。
「何も学べなかったんです」とクリスは言いました。「ただストレスが増えただけでした。同じ時間の中で、今度は2回やらないといけないから、スコープが広がっただけです。」
しかし、彼が注意深く指摘したのはここからです。フィードバックは、それ自体が答えではない、ということです。「ショットへの“たまたまの”フィードバックというのは、その人が気にしていないか、見ていないか、時間がないかのどれかです。」
フィードバックは、学習のために必要であり、制作を一貫させるために必要であり、より多くの目がより多くの問題を見つけるために必要です。
本当の問題は、曖昧で実行不可能なフィードバックです。
彼は、彼の受信箱に定期的に届くような種類のメールの例を共有しました。「ロゴはもう少し左に」「もう少し大きく」といった、長い箇条書きです。ですがクリップのどの瞬間でしょうか? ロゴのどのインスタンスでしょうか? どれくらい大きく? 「要するにこう言っているだけです。“変に見えるから、違うものにしてくれ”」

構造がないと、チームは推測し始めます。修正は積み重なっていきます。アーティストは燃え尽きます。「私たちのアーティストは、たとえプロであっても、慣れていても、最良のものを納品できるところまで行き着かなくなってしまうんです。」
解決策:キツー(Kitsu)でのビジュアル・フィードバック
クリスの答えは、文章による説明を、フレーム上に直接描き込む注釈に置き換えることです。キツーのレビューシステムでは、レビュアーが動画フレーム自体に描画でき、その注記をタイムライン上の特定のポイントに紐づけることができ、さらに参照している瞬間へ直接ジャンプできる形でコメントを残せます。

彼が推奨するツールは意図的にシンプルなので、講演タイトルの「quickdraw(クイックドロー)」という呼び名になっています。
- 動きの方向を示す矢印
- ラベルや文字(「Aを丸で囲んで、キャラクターAを指していると言えば、誰もが左のキャラクターのことを意味していると分かる」)
- 関連する領域を指す線付きの、フレーム上に直接書くテキスト
- タイミングチャート:2Dアニメーションの手法で、フレーム間の間隔を示し、動きがどれくらい速い/遅いと感じるべきかを伝える
また、注釈を即座に読み取れるように、色分けの仕組みも使っています。ピンクは一般的なメモ用。ブルーはアクションラインと構造。オレンジはグラフィック要素用です。「自分で好きにルールを作ってもいいですよ。たとえば、若手は全部グリーンにしてしまうこともできます。色を使った構造を考えるだけで、さまざまな観点が分かれて整理され、何を言いたいのか見えやすくなるんです。」

彼が特に挙げたキツーの機能の1つが、フレームに紐づくコメントです。コメントの中で「@frame」と入力すると、キツーがクリック可能なリンクを挿入し、視聴者を動画のその瞬間へ直接ジャンプさせます。
さらに、「ダッシュ(-)→フレーム参照→その後にメモ」という一貫した構造と組み合わせることで、彼のチームは社内ツールを作り、これらのコメントをタスクリストに変換し、完了した項目はグリーンに切り替わるようにしています。メモはMayaとも同期するため、コメントをクリックすれば3Dソフト上で対応するフレームへジャンプできます。
Kitsuの同期(Sync)機能を使って、共同レビュー・セッションを実現する
クリスが頼りにしている機能の1つが、キツーの同期再生です。
彼は、毎日のレビューでそれを使います。共有プレイリストを作成し、クライアントであれチームメンバーであれ、全員が同じフレームを同じタイミングで見られるようにするのです。レビュアーは、同時に同じフレームに描き込めます。
「同じプレイリストにいる複数のキツーユーザーで、会議を開けます。みんなが同じものに描けるということです。つまり、非常に具体的なことを、非常に具体的なタイミングで話し合えるんです。」
このレビュー・エンジンは、散らばったメールのスレッドを、1つの共有されたビジュアル記録に置き換えます。
クライアントにとっての「安心できる場」を作る
こうしたツールをクライアントに実際に使ってもらうには、「間違えたらどうしよう」という恐れを取り除く必要があります。
クリスは、キツー内に専用のクライアント向けレビュー用タスクを構築しました。メインの制作パイプラインとは切り離されており、クライアントにのみ表示され、議論対象として最新バージョンだけが表示されます。そして、キツーのステータス自動化機能を使って自動的に投入されます。

彼は、タスク上で「C Review」というステータスを設定することで、その流れをトリガーします。すると、手動のアップロードを必要とせず、最新のプレビューがクライアント向けレビュー用タスクに自動で送られます。ファイルの転送は、キツーの「import last revision(最後のリビジョンを取り込む)」機能が担当します。「ここであなたが何をしても、それはあなたのものです。あなたのことを見ているのは私か、ほかのリードだけで、誰も失敗しても見ません。それに、何も壊しようがないようにしてあります。」
また、クライアントにはラフで速く描くことも勧めます。「速くて適当であるほうがいいです。マウスのスピードを使えば、完璧な画像ではなく、“圧力に応じている”ような感覚で下書きを作れます。」重要なのは、芸術的な正確さではなく明確さです。
人によってフィードバックは違う。けれど共通言語は1つ。
クリスの講演から得られる重要な洞察は、フィードバックの質は「誰が」それを出しているかに大きく左右される、ということです。
アートディレクターは求めるものを理解していますが、それを説明する時間はほとんどありません。プロデューサーはクライアント側の言葉を理解しています。ブランディングチームはロゴの配置に関心があります。ディレクターは、作品全体の感情的な流れを考えています。
「それぞれの目が、最終的なプロダクトにとって重要です。」彼の目標は、全員をアーティストに変えることではありません。役割に関係なく、すべてのステークホルダーに対して、「見えているもの」を伝えるための共通のビジュアル言語を渡すことです。
「全員がビジュアルのフィードバックを出す側に回れるようになれば、ショットのオーナーシップがチームに生まれます。そして、コミュニケーションのためのツール、チーム全体が共有する“言語”を作れます。色の言語、ディテールの言語、構造化されたフィードバックの出し方――そうしたものです。」
アニメーション制作会社への要点

クリスの講演は、フィードバックを“後回しのもの”ではなく、アニメーション制作会社にとって重要なツールとして扱うべきだという、実務的な主張です。
そのツールは、今日のキツーの中に揃っています。描き込み式の注釈、フレームに紐づいたコメント、共有された同期再生、そしてクライアント向けレビュー用パイプラインのステータス自動化……。制作会社に必要なのは、それらを一貫して使い続けるための規律と、クライアントを含む“全員”を巻き込みたいという意志です。
「全員を招いて、フレームに描いてもらってください。クライアントも招いて、ステークホルダーも招いてください。会議では画面を共有して、ヘタな絵をその場で描いてみせて、“こうやるんだよ”と見せればいいんです。」



